野球肘

このようなお悩みはありませんか?

  • ボールを投げた時や後で肘が痛くなる
  • バッティングで振り切ったときに引っかかるような痛みがある
  • 肘の曲げ伸ばしがしづらい
  • 肘だけではなく腕や手の方まで痺れる

野球肘とは

「リトルリーグ肘」とも呼ばれ、球技などの投球動作で肘を酷使することで生じる肘の障害の総称で、様々な病態があります。
骨の成長が不十分な10~12歳の成長期に好発し、その名の通り、特に野球の投手歴のある子に多く見られます。
そして、成長期にみられる野球肘はほとんどが骨軟骨障害で、内側型・外側型・後方型に分類されます。その中でも、内側型が一番多く、狭義では上腕骨の内側上顆に起こる障害のことを野球肘と指します。

野球肘の分類を簡単に下記にまとめました。

  • 内側型
    ・上腕骨内側上顆障害
    ・上腕骨内側上顆裂離骨折
    ・上腕骨内側上顆骨端線離開
    ・内側側副靭帯損傷
    ・尺骨神経障害    など
  • 外側型
    ・上腕骨小頭骨折
    ・上腕骨小頭離断性骨軟骨炎
    ・滑膜ヒダ障害    など
  • 後方型
    ・肘頭骨端線離開
    ・肘頭疲労骨折
    ・肘頭の骨棘
    ・肘関節後方のインピンジメント
  • その他
    ・関節ねずみ(関節内に骨や軟骨のかけらが挟まっている状態)
    ・胸郭出口症候群

野球肘は内側には牽引ストレス、外側・後方に圧迫ストレスが加わり続けることにより発症します。
特に、投球相ではレイトコッキング期~加速期の間で肘関節外反ストレスと腕橈関節の回旋ストレスが最大になります。そこでフォームが崩れていると、肘や肩にかかる負担が増え投球障害を招く危険があるため注意が必要です。
また、内側型より頻度は少ないものの、外側型の上腕骨小頭離断性骨軟骨炎は注意が必要です。なぜなら、症状が進行すると手術になる可能性が高く、将来的に関節が変形し可動域制限などの酷い後遺症が残ってしまう場合があるからです。

野球肘の初期であれば1~2か月の休息で症状が改善することがほとんどです。しかし、無理に投球を続け症状が進行すると約4~6か月程度、場合によっては年単位での投球禁止が必要になってしまいます。
もし、ボールを投げたりした際に肘周辺に違和感を覚えるのであれば、思い切ってしばらくの間は投球を休止し、早期に発見し治療していくことが大切です。

野球肘の原因

野球肘の主な原因は肘のオーバーユース(使いすぎ)です。しかし、投球のフォームや身体の硬さなど様々な要素があり、それを取り除かないと繰り返し再発してしまいます。
下記に報告されている原因となる要素をいくつかまとめました。

  • オーバーユース(使いすぎ)
  • コンディショニング不良
    ・体幹、下肢の柔軟性の低下
    ・体幹から股関節周囲のコアスタビリティの低下
    ・肩甲骨の位置異常や機能性の低下
    ・胸郭の柔軟性
    ・肩甲上腕関節の可動域変化
     (外転外旋の増大、外転内旋・屈曲内旋・水平屈曲の減少)
  • 不良の投球フォーム
    ・コッキング期で身体の開きが早い
    ・レイトコッキング期~ボールリリース期においての肘下がり
    ・ボールリリース前後での過剰な肩関節内旋
    ・体幹の回旋不足による手投げ(ステップ脚への体重移動不足)
  • 成長期特有の解剖学的弱点
    ・骨端線(成長軟骨)の存在
    ・腱・靭帯付着部の軟骨成分の存在
    ・骨の強度が低い
    ・筋力の未発達

主な症状・所見

  • 障害部位の圧痛
  • 肘関節の可動域制限
  • 前腕~手指にかけての痺れ
  • 外反ストレス痛
  • 肘過伸展時の内側または後方の痛み
  • 加速期~ボールリリースにかけての肘関節内側の痛み
  • 加速期~フォロースルー期にかけての肘関節外側の痛み

当院での施術

徒手療法

上肢の筋肉をストレッチやマッサージでほぐすことにより痛みを緩和させます。
また、肩甲骨周囲や股関節のストレッチを行うことで患部にかかる負担を軽減させます。

鍼灸施術

患部や前腕・上腕の筋に対して鍼灸施術を行うことにより、組織の修復を早めるとともに、疼痛を軽減させます。

物理療法

早期回復のため、信頼度の高い物理療法機器を取り揃えております。炎症を抑え、組織修復を促します。

運動療法

肩甲骨周囲筋、体幹、股関節周囲筋のトレーニングを行い、時期に合わせて投球動作の修正を行います。それにより、痛みを取り除くだけでなく、競技復帰に向けて再発しにくい状態を作っていきます。

参考資料